奨学生の声
Voice
2024年度 海外留学支援奨学生 稲垣佑菜さん
私が留学を志したきっかけは、ドイツ語の習得と実地研究調査である。大学で政治学を専攻するにつれ、海外での研究調査に興味を持ち、その第一歩としてドイツへの留学に挑戦した。
ドイツでの留学生活は、私の研究を進めるだけでなく、私個人の成長に非常に有意義なものとなった。大学の講義は全てドイツ語で行われるため、当初は授業についていくのもやっとで、積極的に参加することができなかった。数か月経つと、授業中にドイツ語で意見を発言し、議論できるようになり、自身の成長を強く感じ、大きな達成感を得た。また、留学の利点の一つに、多様な国籍や文化的背景を持つ人々と交流できることがある。彼らとの対話を通して、これまで持っていた価値観や考えを共有し、共に磨き上げることができ、柔軟な思考を得ることにつながった。
誕生日会での集合写真
ドイツ人友人らとは、クリスマスやイースターなどの季節のイベントに参加させてもらい、ドイツの文化的活動を経験した。クリスマスマーケットで飲む本場のグリューワインがとても美味しく、イースターでは卵に絵を描き、家中でイースターエッグを探し、とても楽しかった。実際に体験することで、ドイツ文化が単なる知識から心に残る大切な思い出と変わり、日本でもドイツ文化を経験したいと考えるようになった。彼らとの絆は、留学しなければ得られなかったものであり、今後もその繋がりを守っていきたいと思う。留学終盤では、私の誕生日パーティーを開いてもらい、留学中に仲良くなったドイツ人、日本人の友人らが忙しい中来てくれ、最後のお別れをすることができた。パーティーは本当に楽しく、同時に帰国への寂しさが高まり、「絶対にまたドイツに来たい」と強く思い、将来的な再渡独を心に決めた。
また、日本語を教える授業にサポーターとして参加し、ドイツ人と日本語で議論したり、単語の意味を教えたりといった活動を行った。サポーター活動で教員や仲間と関わるうちに、語学を教える楽しさを知り、いつしか「日本語教員になる」と目標を持つようになった。その後、日本人の友人にドイツ語を教え始め、次第にドイツ人に日本語の文法をドイツ語で教えるようになった。学習者の日本語力が伸びていく姿を、自分のことのように喜ばしく、教えることの楽しさと話せることへの達成感を感じる中で、将来設計を具体的に描けるようになった。
ドイツ語授業メンバーとテスト後の食事会
しかしながら、全てが順調で楽しい思い出ばかりではなく、初めて挫折を経験した留学でもあった。留学後半のより高いレベルのクラスでは、自発的な発言や議論を主とする授業形態と内容が展開されていた。そのため、ドイツ語の表現力や単語力の不足から次第に自信を失い、発言もできなくなり、他の受講生より自分が劣っていると感じるようになった。勉強を重ねても成長を実感できず、ただ出席するだけの状態で授業を過ごすことがしばらく続いた。「他の留学生はできているのに」と悔しく、ドイツ人の友人らとの会話も理解できないほど、精神的に追い詰められていた。
正直なところ、このような感情は帰国後の現在も感じ続けている。しかし、この出来事は自己を見つめ直す機会となり、大きな精神的成長につながるものでもあった。留学前の私は人と関わることが苦手で、誰かと日常会話をする、一緒に出かけるといった行為を避けてきた。「変わらなければドイツ語も成長しない」と考え、まずは苦手な「会話」に注力することを決意した。初めは仲の良いドイツ人の友人らと一緒に勉強する、どこかに出かける、少し会話をするなど、挑戦していった。さらに、授業でペアになった子と放課後カフェに出かけるといった、特に苦手としていた行為にも勇気を出して挑戦した。その結果、多様な話題を様々な人とドイツ語で会話することを重ねるうち、話すことに慣れ、発言に自信がつき、最終的には試験で良い結果を残すことができた。この挫折は、自分自身を大きく変えた出来事であり、精神的にも強く成長できたと実感している。
今回の留学は、私自身の根本的な部分を変えるものであり、新たな自分として成長に繋がった。学問的な学びに加え、文化的背景が異なる様々な人との関わりを通して、語学力を身に付けるだけではなく、精神的な成長を遂げることができた留学生活であった。今後はこの経験を研究活動に活かすと共に、将来の目標に向け努力を続けていきたいと思う。また、今回得た挑戦心や自己への反省を忘れず、国際的な活動に携わり、社会貢献できる人材になりたいとも考えている。
最後に、このような貴重な機会を与えてくださった飯塚毅育英会とその支援者の皆様に心より感謝申し上げると共に、この経験を糧に今後も努力を重ねることを誓う。
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