奨学生の声
Voice
2024年度 海外留学支援奨学生 新橋美紀さん
私は、University of Chicago Booth School of Business(以下、Booth)にて、経営学修士号を取得しました。
シカゴ大学は、アメリカの名門私立大学で、幅広い分野において世界屈指の研究機関として知られています。これまでに100名を超えるノーベル賞受賞者を輩出し、「Crescat scientia; vita excolatur(知識はますます広がり、それによって人間の生活が豊かになるべし)」というモットーのもと、知の探究を通じて社会に貢献するという理念を掲げています。
キャンパスには、ネオ・ゴシック様式の荘厳な建築と近代的な施設が共存しており、まるで『ハリー・ポッター』のホグワーツのような、静謐で知的な空間が広がっています。その中でもBoothは、世界トップクラスの評価を誇るビジネススクールであり、自由度の高いカリキュラムと実践的な学びの機会に満ちた環境です。
学生の多くは中国やインドをはじめとしたアジア諸国出身で、そのほか欧米、中東、南米など、非常に多様なバックグラウンドを持つ仲間が集まっていました。また、スーツやジャケットで身なりを整えた、大手企業の元社員や、実際に起業家であるMBAの生徒等と授業を共にし、ビジネススクールならではの張り詰めたような緊張感が漂っていました。
授業では、統計学、会計学、経営意思決定モデルといった基礎科目から始まりましたが、内容は高度かつスピード感があり、常に緊張感を持って学ぶ必要がありました。周囲には、議論をリードしながら理解を深めていく優秀な仲間が多く、その環境が自然と自分を奮い立たせてくれました。
また、業界別のワークショップやゲストスピーカーによる講演が日常的に開催されており、授業外でも多くの学びと刺激に満ちていました。ビジネスにおいて極めて重要な「ネットワーキング力」も、こうした場で磨かれました。「It’s not what you know, but who you know(何を知っているかではなく、誰を知っているか)」という言葉の通り、人とのつながりがビジネスを動かすことを実感しました。
謙虚さが尊ばれる日本文化とは異なり、アメリカでは自己主張と積極性が求められます。最初は戸惑いもありましたが、「Get out of your comfort zone(コンフォートゾーンを出る)」という言葉を胸に、自ら挑戦を選び、行動を起こすことの大切さを学びました。
私が留学を決意したきっかけは、日本の中小企業における事業承継や成長戦略に関心を抱いたことでした。しかし、Boothでの学びと国際的な環境に身を置いた経験を通じて、私の問題意識は大きく広がりました。
たとえば、日本企業はビジネススクールのケース教材として、過去の成功例は頻繁に取り上げられますが、近年のイノベーション成功事例として紹介されることはほとんどありません。この状況は、単に個別企業の問題にとどまらず、日本の中小企業から大企業、スタートアップに至るまで、ビジネス全体が文化的・構造的な課題を抱え、変化や挑戦への適応が遅れていることの表れではないかと感じました。
また、世界中から優秀な学生が集う中で、300人を超える学生で構成されるプログラムの中、日本からの日本人は私ひとり。日本の競争力が低下しているという話は耳にしていましたが、現地でその現状を肌で感じました。日本には高いポテンシャルを持つ人材が数多く存在するにもかかわらず、世界に出て挑戦する人の数が限られている。その結果として、国際社会における日本のプレゼンスも次第に低下していると実感しました。
こうした気づきから、私は単なる学びにとどまらず、実践の場に身を置くことを決意しました。卒業後は、就労許可制度を活用し、シリコンバレーのグローバルベンチャーキャピタルに就職。現在は、日本企業のイノベーション創出や成長戦略の支援を通じて、現場での課題解決に日々取り組んでいます。
何よりも、このような貴重な学びと成長の機会を得られたのは、本奨学金による温かいご支援のおかげです。心より感謝申し上げます。これまでいただいたご支援に感謝し、その恩に報いるべく、今後は実務と経験を通じて得た知見を日本社会に還元し、貢献してまいります。
そして、留学を迷っている方がいるなら、ぜひその一歩を踏み出してください。文化や言語の違いに不安を感じることもあるかもしれませんが、その先には確実に、自分自身の可能性が大きく広がる瞬間が待っています。成長も成功も、自分のコンフォートゾーンの外にしかありません。
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