奨学生の声

Voice

2023年度 海外留学支援奨学生 田中 茜さん

タシュケント国立東洋学大学(Toshkent davlat sharqshunoslik instituti)/ウズベキスタン

サマルカンドにて友人たちと

私は、中央アジアの中心部に位置するウズベキスタン共和国の首都タシュケント市に約10カ月間留学しました。ウズベキスタンはウズベク人を中心とした多民族国家です。国家語はウズベク語ですが、ロシア語も広く話されています。また、ティムール朝の首都であるサマルカンド等、歴史ある都市を有する国でもあります。留学中は休日を利用してウズベキスタン国内を回り、研究対象の服飾文化を調査するとともに、ウズベキスタンの多様な文化や慣習に親しみました。

大学生活と研究について

タシュケント国立東洋学大学テュルク語学部に所属し、留学生プログラムを履修しました。大学では、ウズベキスタンやロシアの文化や文学、言語を中心に、ウズベキスタンに関する知識を幅広く学びました。

国際女性デーでの発表

特に印象的だったのは、ロシア語とウズベク語の詩に関する授業です。ロシアを代表する詩人プーシキンや、ティムール朝時代のナヴァーイーやムガル帝国の創始者バーブルといったウズベキスタンを代表的する詩人と歴史、作品について学び、授業ではたびたび詩の朗読に関する指導が行われました。プログラムの最終試験においても詩の発表が課せられ、改めて、教育、文化として詩が重要視されているのだと感じました。

また、プログラムの成果を発表する機会も多く、例えば3月8日の国際女性デーの際には、日本人留学生によるウズベキスタンの文化に関する発表会が開かれ、ウズベク語の詩の朗読を行いました。

余談ではありますが、こうしたイベントの開催は直前に決定されることがほとんどで、先生方の二転三転する発言に振り回された1年間でした。アカデミックカレンダーに関しても、学部学科によって認識が異なる上に、先生方も現地学生も把握しておらず、日本の規則正しいスケジュールが当たり前だと思っていた私たちにとって非常に衝撃的でした。ウズベキスタン留学を通して、自分の中の常識が世界共通ではないこと、そして異文化での生活が簡単ではないことを痛感した一方、ウズベキスタンの「おおらかさ」の一端に触れました。

現地調査中の一枚

また、ウズベキスタン留学の目的である服飾文化に関するフィールドワーク調査を行いました。10カ月間という短い期間で課題も残りますが、今後はこの調査を元に卒業研究を進め、詳細な分析に尽力したいと思います。

留学生活について

ルームメイトの結婚式

タシュケントでは、現地学生とともにアパートで共同生活を送りました。生活面においても、掃除の仕方や冷蔵庫の食材の使い方等、価値観が全く異なり、ルームシェアを始めた当初は困惑の日々でした。問題が起こるたびに話し合い、時にぶつかり合いながら、互いにより良い共同生活を送れるよう努力を重ねました。また、日本と異なる環境で体調を崩しがちだった私をいつも気にかけ、親身に看病してくれた彼女たちには感謝しかありません。共同生活を通して非常に仲が深まり、現地学生の実家に招待していただいたり、結婚式に参列したりと、ウズベキスタン留学ならではの貴重な経験をすることもできました。

またタシュケントでは、多くの在ウズベキスタン日本人の方々と交流する機会にも恵まれました。特に、青年海外協力隊や現地で日本語教育に携わる方々との交流を通して、ウズベキスタン留学の経験をどのように社会に還元すべきなのか、将来のキャリアについて深く考える期間となりました。

おわりに

留学生活は、驚きと挑戦の毎日でした。例えば留学開始当初、留学生担当の事務局とのやりとりには苦労が多く、ウズベキスタンの洗礼を受けました。しかし、そのような状況だからこそ学べたことも多くあります。異文化コミュニケーション難しさを自覚し、自身の意見をはっきり述べること、そのために必要な語学力と交渉力を養うこと等、留学を通して学べたことは数え切れません。楽しい思い出だけでなく、大変なこともたくさん経験しましたが、それを乗り越えたことで、精神的に強くなれたと思います。

最後にはなりますが、貴育英会の皆様のご支援のおかげで大変充実した留学生活を送ることができました。心より感謝申し上げます。

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