奨学生の声

Voice

2022年度 海外留学支援奨学生 吉原麻実さん

ミュンスター国立音楽大学(Musikhochschule Münster)/ドイツ

音楽の本場であるヨーロッパへ留学をした経験は私のこれまで歩んできた人生のなかで最も貴重な期間となりました。日本では決して体験することのできないことを留学先のドイツで体験する機会が数多くあり、そのなかでも特に印象に残っていることを大きく3つに分けてお伝えしていきたいと思います。

まず1つ目は、学友との学内外の音楽活動です。学内の活動では世界各国からの優秀な演奏家の方が在籍されており、そのような様々な国籍の方々と交流を深めながら、Michael Keller教授の下で音楽に没頭することができる環境に身を置き日々練習に打ち込んだ生活を送ることができました。

また時には学友とアンサンブルも行い、周囲のレベルが高いなかで1つの音楽を創り上げることの難しさを実感したと同時にソロでは味わうことのできない達成感をも感じることができました。学外の活動面ではピアノソロやピアノコンチェルト、デュオなど様々な演奏の機会に恵まれ、自分の実力が評価されていたことからも大変嬉しかったです。演奏は街の教会や老人ホーム、コンサートホールなど様々な場所で年代問わず多くの方に演奏を披露する機会がありとても貴重な経験をさせていただきました。私は音楽活動をしているなかで演奏を聴いてくださるお客様に感動や音楽が持つ魅力を発信していきたいという思いを持って日々活動しており、演奏終了時にお客様の笑顔を見れた時や応援の言葉をかけていただいた時が私にとって最大の喜びであり、音楽に携わっていて本当に良かったと思える瞬間であります。

留学中に幾度もそのようなコンサートに出演させていただく機会がありその度にお客様の笑顔を見ることができた時は本当に感慨深いものがありました。今後も音楽活動を通して一人でも多くの方々に喜んでいただけるように一層成長していきたいです。

続いて2つ目は、海外のコンクールに出場し良い結果を残せたことです。Michael Keller教授のレッスンで今の自分に不足していることは何かということを常に考え、改善を繰り返すことで足りない部分を補い、毎回のレッスンに意欲的に取り組むことで自分の音楽技術を磨いてきました。その結果、2023年9月にミュンスターで開催されたPIANO!Wettbewerbというコンクールで第2位を受賞することができました。この受賞をきっかけに様々な演奏の機会をいただくことができ、自身の活動の幅が広がりました。続く2024年2月にミュンスターで開催されたSteinway FörderPreisというコンクールでは第1位を受賞することができました。これによりドイツで始めてのCD制作が決定し、製作にも携わらせていただいたことからも大変光栄に感じております。既に日本でも1st及び2ndCDをリリースさせていただいておりますが、ドイツでは初めてのCD製作でありましたので、大変嬉しく思っております。

今回このような成績を残すことができたのもコンクールに向けて1日も練習を怠ることなく研鑽を続けられたからこそだと考えています。また今回の受賞は自分一人の力ではなく多くの方々のサポートがあったからこその受賞だと思います。

そして今回のコンクールの結果に決して満足することなく今後も良い結果を残すことで周囲の期待に応えられるような演奏家でありたいです。

最後に3つ目は、ドイツ周辺地域を観光をすることができたことや憧れであった国際的な演奏家の方々にお会いする機会があったことです。世界遺産であるケルン大聖堂をはじめ、ライプツィヒ、ドレスデン、デュッセルドルフそして偉大な作曲家であるショパンのゆかりの地であるワルシャワなどに訪れました。

ワルシャワではショパン博物館を訪れ、そこではショパンが愛用していたピアノや当時のワルシャワ市街の様子や貴重な品々も展示されており歴史について触れることができ、ショパンの音楽人生について知ることができました。これまで写真でしか見ることのできなかったものを実際に目で見て肌で感じることができて大変感慨深いものがありました。

また世界の第一線で活躍する国際的なGrigory SokolovさんやSeong Jin Cho さんのコンサートに足を運ぶ事ができたことも留学をしていたからこそできた経験だと思っております。素晴らしい演奏家の生演奏を聴くことは、一人の演奏家として大変勉強になることが多く、音楽の表現や立ち振る舞いなど自分に取り入れられる部分は積極的に取り入れていきたいと思いました。

上記大きく分けて3つの事柄が私が今回の留学期間中の中で特に印象に残っていることであり、今後の音楽活動の糧になると思っております。

そして帰国後も留学期間中に経験したことを活かして、これまで以上に表現豊かな音色を皆様にお届けできたらと思っております。今後の活躍にも乞うご期待いただけましたら幸いです。


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