奨学生の声

Voice

2018年度 海外留学支援奨学生 安納光太郎さん

テキサスA&M大学工学部石油工学科(Texas A&M University)/アメリカ
新型コロナウイルスの流行以前の生活について
研究室の歓迎会

留学生活の前半は、毎日キャンパスに通うことができました。初めは英語に不安があり、大学院での生活に不安を感じていましたが、研究室のメンバーにも恵まれ充実した生活を送ることができました。(写真は研究室の歓迎会の様子です)

研究室のメンバーは中国人4人とインド人、タイ人、ロシア人、アメリカ人、ウクライナ人がそれぞれ1人ずつとギリシャ人とアメリカ人の先生でした。日々生活する中で、それぞれの国の文化や、風習について話したりしました。その中でも、記憶に残っているのは政治と選挙について会話をしたことです。私は日本の選挙制度については知っていたので答えることができましたが、歴史的に見た選挙結果の移り変わりや各政党の特色、少子化と高齢化に対する取り組みなど、込み入った話にはついてくことができませんでした。日本の大学ではこのような話をしたことがなかったので、あまり関心をもっていませんでした。日本では政治の話をする機会は少なくても、世界では共通の話題の一つとして扱われていることが分かったので、ニュースをより注目しようと思いました。

外国人の友達だけではなく、日本人の社会人学生(会社から博士をとるために大学院に来ている方)とも交流できたのは留学して良かったと感じています。企業で働くイメージや海外赴任について学ぶことができました。テスト期間が終わった後にはバーベキューをし、楽しい思い出がたくさんできました。他にも、学生たちで集まりホームパーティーを開くこともありました。料理が得意なアメリカ人の友人がスペアリブを作ってくれました。忙しい日々がほとんどでしたが、楽しい思い出です。

新型コロナウイルスの流行以降の生活について
本人右端

本人右端

2020年の3月頃からアメリカで新型コロナウイルスが流行し始めました。大学からはオンラインでの授業に切り替えると発表があり、さらにその3日後には9月までのすべての授業をオンラインで行うこととし、直接会ってのミーティングが原則禁止となりました。決定のスピード感は日本よりもずいぶんと早いなという印象を受けました。授業はZoomを利用し自宅から受けました。また、研究室の先生とのミーティングも同様にZoomを利用し行っていました。大学生活が一気に変化し、戸惑いもありましたが授業、研究ともに進めることができました。

感染者数の報告は毎日確認していました。アメリカ、特にテキサスは感染者数が日本と比べて非常に多く、感染対策を徹底しました。外出は週に一度のスーパーへの買い出しのみとし、他の時間はアパートで生活をしていました。スーパーでは日本と同様にトイレットペーパー、ティッシュペーパー、キッチンペーパーの買い占めがありました。普段なら壁一面に積み上げられている紙製品が一つも残っていなかったのには驚きました。しかし、マスクの着用にはアメリカと日本で大きな違いがありました。流行の初めの時期にはマスクも全員が着用しているのではありませんでした。他に違いを感じた点は、コロナウイルスに関するニュースです。感染者数と死者の推移を報告するのは変わらないのですが、アメリカのニュースでは、ニューヨークの教会にコロナウイルス感染者の遺体が運ばれ、教会一面を埋め尽くしている映像が流れていました。ショッキングな映像ではありましたが、患者数が急激に増えていることを視聴者に強く訴えかけるものでした。新型コロナウイルスの感染が長引くにつれ、ニュースでは人種ごとの感染者数、感染経路など、より詳細な情報が報道されるようになりました。それによると「感染者の急増は、ヒスパニック系の人たちが近くの湖でバーベキューをしたことによって集団感染した」ことだと説明されていました。人種ごとのデータが公開されているのは驚きでしたが、選挙でも人種ごとの投票率が公開されるなど人種に対する考え方が日本とは全く違うことを感じています。また、ミネアポリスでのデモからも分かるように、アメリカにおいて人種問題はとても深刻かつ根深いことを実感しました。また、医療の面でも日本との違いを学びました。大学関係者で、熱、せきの症状が出ていて、肺が痛むという患者が病院に行こうとしたところ、「診察ができるのは2週間後です」と言われたという話を聞きました。アメリカは医療制度が充実していないと聞いていましたが、ここまで医療崩壊が起きていることに衝撃を受けました。人種問題、医療制度など新型コロナウイルスの流行によって、アメリカのマイナス面に目が行きましたが、アメリカの良い点も知ることができました。それは、政府や大学の対応の早さです。大学は大量に新型コロナウイルスのワクチンを確保し、職員、学生に接種を進めていきました。新型コロナウイルスの流行によって、当初思い描いていた留学生活を送ることはできなくなりましたが、アメリカについてより深く学ぶことができたかと思います。

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