奨学生の声

Voice

2017年度 海外留学支援奨学生 川田知果さん

国立ボアジチ大学文理学部(Boğaziçi Üniversitesi)/トルコ
トルコ、イスタンブルでの生活
卒業式

卒業式(真ん中:本人)

私は、アジアとヨーロッパの境目に位置するトルコ共和国最大の都市、イスタンブルに約1年間、大学の交換留学生として留学しました。イスタンブルの地形は非常に興味深いもので、都市の中でヨーロッパに隣接する大陸と、アジアに隣接する大陸に、ボスフォラス海峡という海を境に分かれています。私はその中の、ヨーロッパ側の大陸で生活していました。トルコは地理的、文化的、宗教的にも多様性に富み、地域によって特色が異なります。イスタンブルはトルコの中でも最も近代的・西洋的な都市でしたので、国自体は保守的ですが、比較的外国人の私でも住みやすく感じました。

イスタンブルではボアジチ大学に留学し、トルコ言語文学学科に所属しました。基本的には外国人向けのトルコ語やトルコ文学の授業しか受講できず、トルコ人学生とはトルコ語の授業が受けられなかったことが少し悔しい点でしたが、留学生の友人を作るにはとても良い機会になりました。また、私は歴史的建造物アヤソフィアと、それに関するビザンツ帝国の歴史の授業を受講したかったのですが、それもやはり、在学生と歴史学部の生徒が優先されたため、授業を取るのには大変苦労しました。履修登録の仕方から授業の受け方、宿題やテスト、何もかも日本の大学とは違ったため、最初は戸惑いました。学生は、授業中積極的に発言や質問をし、日本の大学生よりも意欲的に授業に取り組んでいる姿勢が見られ、とても刺激的でした。彼らに負けないよう、積極的に授業に参加することに必死になりました。授業後は、ほとんど毎日のように、トルコ人の友人とチャイ(トルコの伝統的な紅茶)を飲みにカフェへいき、夜まで会話を楽しみました。私はその時間がとても大好きでした。留学前の私は、留学は勉強のためだ、と考えていましたが、生活しているうちにどんどん友達が増え、週末には共にイベントを考え、出かけたりするなど、非常に充実した時間を過ごせたともに、大切に思えるトルコ人の友人をたくさん作ることができました。また、ボアジチ大学には、『ニット会』と呼ばれる、日本人と日本に興味のあるトルコ人のサークルがあり、参加していました。サークル活動は基本的に月に1度でしたが、サークル内でできた友人と定期的に会い、文化交流を楽しみました。5月には、日本週間というイベントをキャンパス内で開催し、留学中の日本人やサークルのトルコ人と共に、手巻きずしやおにぎりを作って販売したり、ブースに来てくれたトルコ人学生の名前に漢字を当てはめて書道をしたり、簡単な日本語の授業をしたりと、日本文化を広めるために皆で一生懸命楽しく活動することができました。ボアジチ大学でのキャンパスライフはあらゆる面で充実し、あっという間でした。

留学生活最後の日に最も仲の良い友人と朝食

留学生活最後の日に最も仲の良い友人と朝食
(右:本人)

大学の授業外では、長期休みを利用して、トルコ国内はもちろんヨーロッパの国にも旅行に出かけました。ヨーロッパは合計5か国に旅行しましたが、宗教や文化、歴史の違いからトルコや日本とは非常に異なる雰囲気や人々、建物があり、とても魅力的でした。ですがどの国に旅行しても、トルコへ帰りたいと思ってしまうほど、トルコに馴染んでいました。トルコ国内は、旅行と言うよりもホームステイをしました。3年前にトルコの首都アンカラへ1カ月だけ語学留学をした際にお世話になったホストファミリーを訪ねました。私と同じ年のホストシスターの婚約式に参加したり、ホストファミリーの親戚の家にも泊めてもらったりと、私を本当の娘のように可愛がってくれるトルコ人家族の温かさを感じました。その他にも、トルコ人の友人の親戚の家に招待してもらいホームステイするなど、お客さんを好み、おもてなしをするという素敵なトルコ文化に改めて触れることができました。

振り返ると、自分の研究は物足りなかったのですが、語学の向上はもちろんトルコ文化について深く学ぶことができました。文化体験や学習に意欲的に貪欲になれた1年でした。トルコという日本とは全く違う国で暮らすにあたり、在留許可の取得、その他のトラブルなど苦労したことは多々ありましたが、助けてくれる優しく友達思いのトルコ人の友人に恵まれ、問題を解決してこられたと思います。自分自身も自立心や行動力が身に付いたと実感しました。帰国後も、留学での経験を活かし、今後の課題を見つけ、さらに飛躍できるよう日々精進しようと思います。

一覧ページに戻る